大西ブログ

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はてなのエンジニア×人事の取り組み

久しぶりにブログを書きます。
この記事は、はてなエンジニア Advent Calendar 2022の22日目の記事です。

本記事は、株式会社はてなにおけるエンジニア×人事の取り組みを紹介するものですが、前置きとしてエンジニアだった私が人事部長になった経緯も書かれています。自分語り長文注意。

まず、私は

id:onishi です。はてなの創業メンバーの一人で、現在は取締役、組織・基盤開発本部長、人事部長などを兼任しています。加えて言うとおたくです。

2001年の創業から10年ほどはアプリケーションエンジニアとして、はてなの初期サービス群や、受託部門のエンジニアリングを担当していました。
2006年にはてなで初めてのチーフエンジニアという肩書を持ち、エンジニア組織のまとめ役をしていました。
2011年からエンジニアを主務から外し、この「はてなブログ」の立ち上げディレクターをやりました。
その後、事業責任者やサービス開発全体の責任者を経て、現職に至ります。

人事部長になる

2022年5月の 組織変更及び人事異動 (PDF) で、組織・基盤開発本部長、人事部長を兼任することになりました。
エンジニアからサービス開発のディレクションやチームマネジメント、事業推進、会社の経営執行と、業務の幅を広げてきました。
その際に、やはり自分のベースはエンジニアであり、エンジニア的な視点、アジャイルな姿勢は職種によらず傍らにあり、未知の領域に飛び込むときも、まずは自分で触ってみること、改善のサイクルを回すことを意識してきたのかなと思います。

2022年7月期 通期決算説明会資料 (PDF) にも、「取締役の大西を、組織・基盤開発に専念。エンジニア出身であることを活かし、開発陣含めた全職種の採用・配置・育成に手腕を発揮することを期待。」と書かれています。プレッシャーがでかいぜ。

組織・基盤開発って?

ところで「組織・基盤開発本部」ってあまり耳慣れない組織名だと思いますが、今回新たに立ち上げた部門です。
組織開発と基盤開発の両方を管掌することで、全社の事業を推進することを企図した本部です。具体的な管掌部門とその役割は以下のものがあります。

  • 組織開発(人事部)
    • 採用
    • 労務
  • 基盤開発(プラットフォーム部)
    • サービス基盤 (たとえばはてなID・はてなスターなど)
    • システム基盤 (たとえばインフラ・クラウド管理など)
    • 情報システム
  • 職能組織
    • エンジニア
    • デザイナー
    • カスタマーリレーションプランナー

気持ちとしては、コーポレートと事業の間を全部やる、という意気込みです。

インターネットに新しいもう一つのオフィスを作る

本部ミッションとして掲げたフレーズが「インターネットに新しいもう一つのオフィスを作る」です。
フレキシブルワークスタイル制度」を導入し、リモートワークも増え、働き方も変わってきました。出社率は平均10%程度という状況です。そんな中、実オフィスだけでなく、インターネットこそが新しいもう一つのオフィスである、と考えれられます。
そんなインターネット上の新しいオフィスで一緒に働く仲間を増やし、オンラインで労務を管理し、サービス基盤やシステム基盤、社内の情報システムを整備・運用し、快適なオンラインワーク環境を整えていくこと、それらを組織開発と基盤開発を横断して行うことが当本部の役割だと考えています。

やっていること

もともと事業側から採用に関してはコミットしていたのですが、人事部長になってまずは一通り自分もメンバーの一員として振る舞うことにしました。母集団形成、エージェント・媒体対応、候補者対応、日程調整、面接、オファー、オンボーディングと、全ての工程に関わっていますし、自分の手もまあまあ動かしてます。
事業側、採用人事側の両面の事情がわかることで、効率化を進めました。何がボトルネックになっているのか、ボトルネックを解消するためのワークフローの改善から取り組みました。

採用において重要な指標となる応募から内定呈示までのリードタイムの計測と改善は特に採用率・採用数の向上に貢献したという感覚があります。一緒に業務改善に取り組んだ id:motemen が採用管理システムのデータをインポートしたBigQuery やそのコネクテッドシートでの分析の仕組みを整えてくれたことも大きなポイントでした。リードタイムだけでなく様々な数値上の分析と、分析に基づく仮説検証という武器が得られました。

採用サイトでも、エンジニア採用専門の特設サイトを拡充したり、社員インタビュー・座談会コンテンツを増やしたり、エンジニア採用の採用ピッチ資料も作成してもらいました。

採用以外では、人事データの一元管理とその活用を進めました。サービス基盤部門が協力し、SmartHRのAPIを活用して、社内システムを制作し、業務改善に進めました。

人事データを活用したシステムの例としては、はてなのユーザーアカウントシステムにスタッフの特権フラグを自動で付与・解除するシステムであったり、組織別トラックバック一覧の自動生成であったり、報酬通知書の作成システムであったり、幾つも実際の業務に取り入れることができました。

アウトプット推進

人事を中心とした取り組み以外にも、エンジニアの情報発信には長年力を入れてきました。
Hatena Developer Blogの運営は、チーフエンジニアを中心に、楽しくアウトプットをサポートすることに尽力してもらいました。また、社内の編集者からも支援を受け、コンテンツの品質向上に貢献してもらう体制を確立してもらいました。中でもはてなで働くエンジニアにアンケート連載は、社内の編集者の強いサポートを受けて運用できています。

エンジニアを中心に普段の姿を気楽に伝える新しいチャネルとして、ポッドキャスト Backyard Hatenaを始めたのも、この1年の出来事でした。「社内の雰囲気がわかる」と求職者の方からも好評の声をよくいただきます。

技術勉強会、Hatena Engineer Seminar もチーフ×エンジニア×広報×企画の有志チームで定期開始を実施、毎回クイックにレポートに書き残すことで、やるだけではないコンテンツ化にも取り組んでもらいました。



などなど、たくさんの取り組みがありました。自分が主となったものもあれば、完全にお任せしたものも多数あり、多くの人を巻き込んだ取り組みができたなと感じています。役員が人事に、特に採用にコミットするという姿勢を見せ続けられたことが一番できたことかもしれません。

できたこと・できていないこと

採用リードタイムを始めとした、採用フローにおける数字面の改善は大きく結果に影響したと感じています。フロー改善により、単純に選考回数も倍増できましたし、伴って採用数という結果にも出ています。採用数が◯人に!前年比◯倍!とわかりやすい結果が出ていますが詳しい数字はこの場では控えます。

また、こうした取り組みや、その結果の成果については、外部からの表彰という形で顕れたことも良かった出来事でした。
Owned Media Recruiting AWARD 2022 by Indeedでは、特に情報発信について高く評価いただき、グランプリを受賞することができました。企業のオウンドメディアを推進する会社として、自社の取り組みがこのように評価されたことは大変うれしかったです。

一方で、まだまだできていないこともたくさんあります。

たとえば採用フローもまだまだ改善ができると感じています。手作業を自動化していくこと、ボトルネックを徹底してなくす。採用の各フェーズのコンバージョンは現時点でも悪くない数字ではありますが、さらなる改善・向上の余地があります。
アウトプットについてもより推進していくべく、「アウトプット表彰」という新制度を考えました。一般に人材紹介手当を出す会社は多いと思いますが、「採用に結びついたアウトプット」を表彰する試みを始めました。
そういった新しい試みは常に仮説を立てて、試してみて、結果を見て改善する、というサイクルを回していきます。
組織開発と基盤開発の横断的な取り組みもまだまだ発展の余地があります。現在「組織・基盤開発合宿」として不定期に組織の課題を技術で解決するというテーマでハッカソン的なイベントをしていますが、これもより戦略的に、大きな課題を解決できるようになりたいですね。
そして、人事組織自体の強化もこれからです。今、超少人数で超高効率を実現していますが、これをスケールさせるのが次の課題です。

さいごに

というわけで、いろいろやっているわけですが、冒頭にも書いたように、自分のベースはエンジニアであり、エンジニア的な視点、アジャイルな姿勢は職種によらず傍らにあったなあ、と一年を振り返っても再実感しています。そして、エンジニアもディレクターもそうだったように、人事という新しい仕事も楽しいと思えたのが何よりの収穫でした。
まずは手を動かしてみる。動かしながら学ぶ。仮説を立ててそれを検証する。小さいサイクルでリリースをする。そういった姿勢は、多くの場面、たとえば採用人事といった場面でも強みとなるなと感じています。エンジニアのみなさんの活躍する業務領域は、みなさんが思っているよりも遥かに広大で、いろんな領域にそれぞれのやりがい、楽しみがあるのだと思ってもらってもいいのではないでしょうか。

はてなでは、事業を牽引するエンジニアも、それを支える人事も募集しています!特に一緒に人事をやってくれる人はご連絡ください!

以上、はてなエンジニア Advent Calendar 2022の22日目でした。
昨日の記事は、私がキーノートを務めさせていただくYAPC::Kyoto 2023のコアスタッフでもある、id:papix による「カンファレンスの中の人」でした。
明日の記事は、id:yajimasan です。お楽しみに!

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