大西ブログ

All your blog are belong to us

僕とはてな

こんにちは、はてなの大西(id:onishi)です。
このはてなブログというサービスのディレクターをやっています。フィードバック全部見てますのでどんどんお寄せください。フィードバックで最もご要望をいただいている機能も今仕上げをやっていますので近々出ます。はてなブログをどうぞよろしくお願いします!

さて、id:antipopさんの企画した「Hatena::Staff Advent Calendar 2011」に参加して僕も何か書いてみます。

「はてな」をテーマにという事ですが、今年ははてな10周年。2001年に入社して10年をはてなと共に歩んできたのでいろいろ思い出もありますが、10周年のときに「教科書にのらない!はてなの歴史」というのを書きましたので(僕が!僕が書きました!)、今回はもうちょっと個人的な事を書こうと思います。

ちょうど昨日、IVS (Infinity Ventures Summit) Winterworkshop に行って、起業家の方達や起業を志す学生の方達とお話しする機会があったので、「僕がはてなに入った話」を書こうと思います。以下、自分語り長文注意。

僕がはてなに入った話

勉強よりはアニメとSF小説とTRPGX68000に若い貴重な時間を浪費していた大学生時代。サークルの先輩に中古のモデムをもらい、当時持っていたX68030という国産のPC(ではなくパーソナルワークステーション)をネットにつなげました。インターネットは始まっていましたが、ブラウザがlynxしかなかったのでけっこう不便で、むしろ草の根BBSへの接続がメインでした。

モデムを手に入れてまずは、本屋さんで電波新聞社の「BBS電話帳」を買って、近所で趣味の合いそうなホストを探してみました。当時は定額の回線はとても高価だったのでみんなダイアルアップで繋いでいて、電話料金がかからないように、近くのホストを探したのです。

そうやって見つけたあるホストに接続し、個人宅の個人回線でうごいているテキストベースのホストプログラムと僕のマシンとの通信が始まりました。初心者で何がなんだかわからず、初めて繋いだホストで意味もわからず「SYSOPを呼び出す」コマンドを実行したのです。SYSOPの意味もわかってなかったのですが、これはホストマシンでBEEP音が鳴り響き運営者を呼び出して直接チャットをするコマンドだったんですね。初めて接続してきた知らない人がいきなり呼び出してきて失礼な事をしたと思いますが、その運営者の方とチャットをし、話していると趣味も合うし、なんかとんとん拍子に「明日会いましょう」みたいな流れになったんです。そしてオフラインでも友人になり、彼とその弟と一緒に会社を興すという経験をしました。

まだはてなの話じゃないですよ!長くなってきた!

その仕事が忙しいし楽しいしで大学へは行かなくなり、休学の末、結局大学はやめてしまいました。事業はなんとか右肩上がりで楽しくやっていました。そんな折、高校の同級生から結婚するから結婚式に来てくれという連絡がありました。
若い頃にありがちな誤解として「本気出せば自分は何でもできる」「やる気さえ出せばあいつとあいつには勝てる」なんてよく思いますよね。実際はやる気が出ることはなくそのまま終わってしまうのですが。ご多分に漏れず僕もそういうメンタリティで高校生活を過ごしていました。が、こいつには全く勝てそうな気がしないと思ったのがその友人でした。当時所属していたワンダーフォーゲル部で部長をやっていた近藤という人間です。彼は、異常な熱量と、何かを成し遂げなければという強迫観念のようなものを高校時代から持っていました。

あのjkondoが結婚かーと感慨深く思いながらメールでやりとりをしていたら、結婚した上に起業もするという話でした。
(余談ですが彼は高校時代からサインはjkondoだったので部活でも「じぇいこん」と呼ばれていました。ロシア風に「じぇいこふ」と呼ばれる事も)
人力検索」というアイデアを聞いて、「これでいけると思う?」と聞かれ正直さっぱりわからなかったんですが「いけるいける」と返事しました。そのココロは、彼なら最初のアイデアの成功失敗に関わらず、どうにかして何かは成果を出すだろう、という勝手な期待があったからでした。

メールのやりとりをし、結婚式に出席し、披露宴で泥酔したりしながら、「はてな」という妙な名前の会社を手伝おうと決めました。前の会社を一緒に始めた友人には謝り、引き継ぎをし、京都に引越しもし、完全にはてなに人生賭けようと決意しました。
その時の頭の中には、大好きな「赤毛のアン」の38章「道の曲がり角」の一節がありました。

クィーン学院を出た時は、私の未来は、まっすぐな一本道のように目の前にのびていたの。人生の節目節目となるような出来事も、道に沿って一里塚のように見わたせたわ。でも、今、その道は、曲がり角に来たのよ。曲がったむこうに、何があるか分からないけど、きっとすばらしい世界があるって信じているわ。それにマリラ、曲がり角というのも、心が惹(ひ)かれるわ。曲がった先に、道はどう続いていくのかしらって思うもの。緑に輝くきれいな森をぬけて、柔らかな木漏(こも)れ日がちらちらしているかもしれない。初めて見る新しい風景が広がっているかもしれない、見たこともないような美しいものに出逢うかもしれない、そして道は曲がりながらどこまでも続き、丘や谷が続いているかもしれない


当時付き合っていた彼女にも、「京都で友達の変な名前の会社手伝う事にしたので一緒についてきて」とお願いし、転職、引越、結婚を同時に決めて、ちょっと道の曲がり角を曲がってみました。


その後いろいろあり、現在に至ります。


人生の道の曲がり角はいろんなところにありますので、面白そうな方にどんどん飛び込んでいくのがいいのではないでしょうか。
他人にアドバイスできるほど何かを成し遂げたわけではありませんが、今のところの経験上は面白い方優先が正しい気がしています。
はてなはまだまだ大成功してないし、自分の非力を感じる事も多いですが、最近のリリースラッシュではてなの活気を感じていただけるのではないでしょうか。この後さらにまだいろいろ用意されてますし、ご期待ください。
幸い、前の会社は僕がやめた後さらに成長し、その業界では存在感のある会社になっていますし、はてなも大成功させたいですね!


無理やり京都に連れてきた妻との結婚生活も、明後日の結婚記念日で10周年です。
10年間引っ張りまわして来たしこれからもそんなに落ち着かない気がしますが、引き続きよろしくお願いします。明後日は早退させてもらって、家族で美味しい物を食べに行きましょう。 > 妻


ものすごく個人的な事をたくさん書いて恐縮ですが、明日の「Hatena::Staff Advent Calendar 2011」はid:r_kurainくんです!